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2025.07.11

授乳中の母乳の悩みに、やさしく寄り添うおっぱいマッサージ

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    この記事の監修
    髙津 三枝子(特定非営利活動法人 地域母親支援サージファム)

    ・助産師免許
    ・群馬大学大学院医学系研究科博士前期課程修了
    ・群馬県内看護系大学、助産師学校非常勤講師
    毎日子育てに奮闘し、心身ともに疲れを感じているお母さま方を少しでもお助けしたいという想いから、
    特定非営利活動法人 地域母親支援サージファムを設立いたしました。以来、皆さまの育児が少しでも楽になるよう、日々努めております。

授乳の時期が始まると、「しっかり母乳を出してあげたいな」と思うことが増えてきますよね。

でも、母乳が思うように出なかったり、おっぱいの張りや痛みでつらい思いをすることも少なくありません。

そんなときに知っておくと安心なのが、おっぱいマッサージというセルフケアです。

やさしく手を添えるだけでも、母乳の通りがよくなったり、トラブルの予防につながることがあります。

本記事では、授乳期に役立つおっぱいマッサージの基本やコツをご紹介します。

おっぱいマッサージってなに?

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おっぱいマッサージは、授乳中のおっぱいをやさしくほぐして、母乳がスムーズに出るように整えるケアです。

おっぱいのトラブルを防ぐためにも、毎日のケアにぜひ取り入れてみてください。

授乳トラブルの多くは“マッサージ不足”から始まる?

授乳が始まると、おっぱいの状態は日々変わっていきます。

母乳の出る量やタイミングは、赤ちゃんの授乳リズムやお母さんの体調によって変わるため、ときには母乳がうまく流れず、張りやしこりなどのトラブルが起きやすくなります。

そんなときに役立つのが、おっぱいマッサージです。

乳首のまわりだけでなく、乳房全体をやさしくほぐすことで、母乳の通りがよくなり、トラブルの予防にもつながります。

毎日少しずつケアしていくことで、おっぱいの変化に気づきやすくなり、母乳育児をよりスムーズに続けやすくなります。

乳腺炎やしこりなどのトラブル予防にもつながります

おっぱいマッサージには、母乳を出しやすくするだけでなく、授乳中によくある乳房のトラブルを防ぐ効果もあります。

例えば、母乳が乳腺にたまって炎症を起こす「乳腺炎」や、乳房の中にしこりができるといったトラブルです。

乳腺炎は、乳房の一部が赤く腫れて痛みを感じたり、熱が出ることもあるので、なるべく早く気づいて対処することが大切です。

おっぱいマッサージを取り入れると、乳管の通りがよくなり、母乳がスムーズに出るようになります。

また、赤ちゃんがうまく飲み残しなく吸えるようにもなりやすく、結果的にトラブルの予防につながります。

こんなときは注意!母乳がスムーズに出ないサイン

母乳の出方に変化があるときは、おっぱいの状態や赤ちゃんの様子に、ささやかなサインが表れることがあります。

小さな違和感に気づけると、ゆっくり対処しやすくなります。

おっぱいが張って痛い・しこりがあるとき

授乳のときやその後に、おっぱいがパンパンに張っていたり、ゴリッとしたしこりのようなものを感じると、ちょっと心配になりますよね。

母乳がたまりすぎていたり、上手く流れていないことが原因かもしれません。

そのままにしておくと、痛みが強くなったり、乳腺炎につながってしまうこともあるので、早めのケアが大切です。

授乳前におっぱいをやさしくマッサージしたり、赤ちゃんが飲みやすい姿勢に調整してあげると、楽になることがあります。

どうしても辛いときは、無理をせず、助産師さんなどに相談してみてくださいね。

授乳しても赤ちゃんが満足しないとき

赤ちゃんにたっぷり飲ませたはずなのに、すぐに泣き出したり、また欲しがる様子を見せると、「母乳が足りてないのかな…」と不安になることもありますよね。

でも、母乳の量だけが理由とは限りません。

おっぱいが飲みにくかったり、授乳のペースが合っていなかったりするだけでも、赤ちゃんがうまく飲めずにご機嫌ナナメになってしまうことがあります。

おしっこの回数や体重の増え方もひとつの目安になりますが、まずは授乳の姿勢を見直してみたり、赤ちゃんの気持ちに寄り添ってあげるだけでも、少しずつ落ち着いてくれることがあります。

授乳前後で変わる!おっぱいマッサージのやり方

授乳の前や後など、そのときのおっぱいの状態に合わせて、マッサージの方法も少し変わってきます。

赤ちゃんとの時間がより心地よくなるように、やさしく整えてあげましょう。

授乳前:乳輪をやわらかくする簡単マッサージ

授乳前に乳輪まわりが硬くなっていると、赤ちゃんがうまく吸いつけず、浅くくわえる原因になることがあります。

そんなときは、授乳の直前に乳輪をふんわりほぐしてあげると、赤ちゃんがおっぱいを吸いやすくなります。

マッサージのポイント:
• 指(人差し指〜薬指)を3本そろえて、乳輪の左右にそっとあてる
• 背中の方向に向かって、やさしく数秒かけて押す
• ゆっくり力を抜いて戻す
• 上下から行うときは、指全体でそっと包み込むように

皮膚をこすらないようにしながら、乳輪をじっくり押していくイメージです。

やわらかさの目安は、赤ちゃんの唇やお母さんの腕の内側くらい。赤ちゃんがしっかりくわえられる準備を整えてあげましょう。

授乳中:張りや違和感がある部分はやさしくなでて

授乳しているときに、胸の一部に張りやゴリっとした感覚があることはありませんか?

母乳の流れがスムーズでないサインかもしれません。そんなときは、赤ちゃんが飲んでいる間に、やさしくサポートしてあげましょう。

マッサージのポイント:
• 指4本(人差し指〜小指)の腹を使う
• 乳房の外側から乳輪に向かって、表面をサラサラとなでる
• 指は広げたまま、ふんわりと肌の上をすべらせるように

強く押さず、「風を送るようなやさしい手つき」で大丈夫です。

赤ちゃんが飲んでいるときに一緒にマッサージすると、詰まりがやわらぎ、母乳の流れがスムーズになることもあります。

無理をせず、痛みを感じるときはお休みしてかまいません。

授乳後:しこりや母乳の残りをやさしく流す

授乳が終わったあと、胸の一部に硬さや違和感を感じることはありませんか?

母乳が上手く出切らずに、少し残っているサインかもしれません。そんなときは、授乳後のケアとしてマッサージを取り入れてみましょう。

マッサージのポイント:
• 指2〜3本の腹を使う
• 違和感のある部分を中心に、小さな円を描くようにやさしく動かす
• 乳房の外側(脇の下のほう)から乳頭の方向へ、そっと流す

無理に押し流そうとせず、肌の上をやさしくなでるくらいの力加減でOKです。

肌が乾燥しているときは、オイル(オリーブオイルやベビーオイルなど)を使うと、より心地よくマッサージできます。

しこりが気になるときは、焦らず少しずつケアを続けてみてくださいね。

ママの体調と相談しながら進めよう

おっぱいのケアをするときは、お母さん自身の体調にもそっと目を向けてみてください。

疲れている日や、ちょっと違和感があるときは、無理せずやさしく過ごすことが大切です。

おっぱいの張りや痛みが強い日は“触れないケア”も大切

授乳中におっぱいがカチカチに張ってしまったり、ちょっと動かすだけでも痛む日ってありますよね。

そんなときは、無理にマッサージを頑張らなくても大丈夫です。

かえって刺激を与えてしまうと、炎症がひどくなったり、乳腺炎につながることもあるので、やさしく過ごすことが大切です。

例えば、ゆっくりお風呂に入ったり、蒸しタオルでおっぱいを温めてみるだけでも、ふわっとしたやわらかさが戻ってくることがあります。

今日はちょっとおっぱいをいたわる日。そんなふうに考えて、頑張りすぎずにケアをしてみてください。

乳首に傷があるときはマッサージを避けて

授乳を繰り返していると、気がついたら乳首に小さな傷ができていたり、ヒリヒリするような痛みが出ていることもあります。

そんなときにマッサージをしてしまうと、傷口が広がってしまったり、雑菌が入りやすくなってしまうこともあります。

もし少しでも違和感があるときは、マッサージはお休みして、おっぱいをゆっくり休ませてあげましょう。

傷が落ち着くまでは、保湿をしてあげたり、赤ちゃんがくわえやすい姿勢を探してみるだけでも十分です。

おっぱいも、赤ちゃんと同じように、毎日ちょっとずつ変化しています。

だからこそ、その日の体調にあわせて、できることをやさしく取り入れてみてください。

母乳を出やすくするためにできること

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母乳が出やすくなるためには、日々のちょっとした工夫が大切です。

食べ物や飲み物の選び方、ほっとひと息つける時間の取り方など、ゆるやかに整えていきましょう。

食事やリラックスで母乳の質もアップ

母乳は、お母さんの血液から作られています。そのため、普段の食事や飲みもの、過ごし方が、母乳の質に大きく関わってきます。

野菜や果物、大豆製品、お魚などを毎日の食事にちょっとずつ取り入れていくと、からだに優しくて、母乳も整いやすくなります。

また、母乳の多くは水分なので、意識してこまめに水を飲むことも大切です。

忙しいとつい忘れてしまいますが、1日2リットルくらいを目安にしてみてくださいね。

そして、毎日慌ただしいとは思いますが、好きな音楽を聴いたり、深呼吸をしたりして、気持ちをゆるめることも意識してみてください。

授乳の姿勢やタイミングを見直してみよう

母乳を出しやすくするには、赤ちゃんにたくさん吸ってもらうことが大切です。

ただし、赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれるようにするには、お母さんの体勢や赤ちゃんの抱き方が、とても大きなポイントになります。

授乳クッションを使ったり、ひじや背中にクッションを置いたりして、楽な姿勢で授乳できるようにしてみましょう。

赤ちゃんの頭と体がまっすぐになるように、やさしく支えてあげてください。

また、授乳の時間はきっちり決めなくても大丈夫です。

赤ちゃんが欲しがる様子を見ながら、無理のない範囲でこまめに吸わせてあげるのがコツです。

特に夜の時間帯は母乳が作られやすいといわれているので、眠れるときに少しお昼寝をはさんだりしながら、ゆるやかに続けていけるといいですね。

おっぱいをあたためて、巡りを良くしよう

おっぱいは、血液の流れがスムーズになっていると、母乳も出やすくなると言われています。

寒さや疲れなどで身体が冷えていると、血の巡りが滞って、母乳が出にくく感じることがあるかもしれません。

そんなときは、まずはおっぱいを温めてあげることから始めてみましょう。

例えば、蒸しタオルをそっとあてたり、ゆっくりお風呂に入ったりするのもおすすめです。

赤ちゃんのお世話でなかなか時間がとれないときは、足元を温めるだけでも全身がほぐれやすくなります。

無理のない範囲で、毎日の中に少しだけ「ぽかぽかする時間」を取り入れてみてくださいね。

まとめ

授乳が上手くいかない日があっても、あまり気にしすぎず、できることからゆっくり取り入れていけば大丈夫です。

おっぱいをやさしく整えてあげることで、母乳が出やすくなったり、張りやしこりなどの不調に気づきやすくなったりします。

ごはんや水分、過ごし方も少しずつ意識してみると、からだの調子がふわっと整ってくるかもしれません。

おっぱいマッサージが、授乳期を少しでも心地よく過ごすためのヒントになればうれしいです。

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