高崎市の産後ケア・母親支援
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赤ちゃんが母乳を飲まないとき、お母さんが知っておきたいこと

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この記事の監修
髙津 三枝子(特定非営利活動法人 地域母親支援サージファム)・助産師免許
・群馬大学大学院医学系研究科博士前期課程修了
・群馬県内看護系大学、助産師学校非常勤講師
毎日子育てに奮闘し、心身ともに疲れを感じているお母さま方を少しでもお助けしたいという想いから、
特定非営利活動法人 地域母親支援サージファムを設立いたしました。以来、皆さまの育児が少しでも楽になるよう、日々努めております。
赤ちゃんが母乳を飲まなくなると、お母さんは心配になってしまいますよね。
赤ちゃんが母乳を飲まなくなる原因として、赤ちゃんの成長や環境の変化、母乳の状態などが関係していることが多いです。
例えば、哺乳瓶に慣れてしまったり、母乳の味が変わってしまったり、赤ちゃんの吸う力が弱かったりする場合があります。
本記事では、赤ちゃんが母乳を飲まない原因や、そのようなときに試してほしい対策について詳しくご紹介します。
赤ちゃんの成長を見守りながら、無理のない方法を試してみてください。
赤ちゃんが母乳を飲まない原因【新生児】
新生児が母乳を飲まなくなる理由には、飲みやすさや母乳の味、赤ちゃんの吸う力などが関係していることがあります。
また、哺乳瓶に慣れてしまったり、母乳の味が変わったりすると、赤ちゃんが母乳を飲みたがらないこともあります。
赤ちゃんが哺乳瓶に慣れてしまっている
哺乳瓶は少し吸うだけで簡単にミルクが出てくるため、赤ちゃんにとってとても飲みやすい方法です。
そのため、哺乳瓶を使う頻度が多いと、母乳を飲むのが面倒に感じてしまうことがあります。
母乳は赤ちゃんにとって少し力が必要で、射乳反射が起きるまで待つ時間もあるからです。
射乳反射は、吸い始めてから30秒くらいしてから起きるため、反射が起こるまでは、授乳姿勢をしっかりキープしましょう。
授乳のときに母乳を先に与える習慣をつけたり、哺乳瓶の使用を一時的に控えることで改善する可能性があります。
また、哺乳瓶の乳首を母乳に近い形状のものに変えることも効果的です。
母乳の味が変わっている
赤ちゃんは味覚が敏感で、母乳の味がいつもと違うと飲むのを嫌がることがあります。
母乳は母親の食生活や体調によって味が変わるため、特に脂っこい食べ物や甘いお菓子を多く食べた場合、赤ちゃんにとっていつもと違った味の母乳になることがあります。
また、母親がストレスを感じているときも母乳の質や味に影響が出ることがあります。
バランスの良い食事を心がけたり、リラックスできる時間を取ることで、母乳の味が赤ちゃんにとって飲みやすくなる可能性があります。
赤ちゃんの吸う力が弱い
赤ちゃんの吸う力が弱いと、母乳を飲むのに苦労してしまうことがあります。
また、母親の乳首や乳輪が硬い、乳首が短い、陥没しているなどの場合も、赤ちゃんがうまく吸えずに飲むのを嫌がることがあります。
その場合には、授乳の前に乳首をやわらかくするマッサージをしてみたり、授乳クッションを使って赤ちゃんが吸いやすい姿勢を整えるとよいでしょう。
うまく吸えるようになるために乳頭保護器などの授乳を助けてくれる道具もあります。
赤ちゃんが安心して授乳できるように工夫を重ねることで、少しずつ母乳育児がスムーズになることがあります。
母乳がうまく吸えるようになるためには、お母さんの乳房の大きさ、乳頭、乳輪の状態、赤ちゃんの大きさ、赤ちゃんのお口との相性などが関係していることもあります。
解決策がみつからず、思い悩んでしまう前に、赤ちゃんと一緒にご来所ください。
実際の様子から、お母さんと赤ちゃんにベストな改善策を探していきます。
赤ちゃんが母乳を飲まない原因【生後2~3ヶ月】
生後2~3ヶ月ごろの赤ちゃんが急に母乳を嫌がったり、飲むのをやめてしまうことがあります。
赤ちゃんが周りのものに興味を持ち始めたり、母乳の味や状態が変わったりすることが関係している場合があります。
赤ちゃんが突然おっぱいを嫌がる
生後2~3ヶ月ごろ、赤ちゃんが突然おっぱいを嫌がる「哺乳ストライキ」が起きることがあります。
原因は様々ですが、授乳中の環境や母乳の味や匂いがいつもと違うことが影響していることがあります。
例えば、石けんや香水などで母親の匂いが変わった場合や、赤ちゃんが乳首を噛んだときに母親が驚いて強く反応してしまった場合に起こりやすいです。
しかし、赤ちゃんに乳首を嚙まれたときは、とても痛いです。その時は、痛いと叫んでも大丈夫です。赤ちゃんに噛まれそうになるタイミングを見計らって、「噛みません、噛みません、噛みません」と淡々とした表情で声をかけましょう。赤ちゃんがお母さんの笑顔以外の表情を見たいときに、わざと噛むこともあるので、淡々とした表情で対応することもポイントです。
また、赤ちゃんが疲れているときや不安を感じているときにも母乳を嫌がることがあります。
生後2~3ヶ月の赤ちゃんは一時的に母乳を飲むのを嫌がることがありますが、安心できる環境でなく負担を少なくした授乳を続けることが大切です。
授乳中に気が散りやすくなる
生後2~3ヶ月になると、赤ちゃんは周りの世界に興味を持ち始めます。そのため、授乳中に音や光、動くものに気を取られてしまうことが増えます。
例えば、テレビの音や窓から入る光、近くで話す声に注意が向いてしまい、母乳を飲むことに集中できなくなる場合があります。
赤ちゃんの気が散りやすい状況では、赤ちゃんが授乳に集中しやすいように静かで落ち着いた環境を作ることが役立ちます。
また、赤ちゃんの手足がよく動く、寝返りが始まる時期でもあります。赤ちゃんの体の反り返りの状態も確認してみましょう。赤ちゃんが反り返ってしまっているときは、うまく授乳ができないため嫌がることもあります。
もしも赤ちゃんが途中で飲むのをやめてしまった場合は、ベビーマッサージやふれあい遊びなどで気分転換をして、少し時間を置いてから再度授乳を試してみるのもよい方法です。
母乳の出方や味が原因になることも
生後2~3ヶ月の時期になると、母乳の出る勢いや味の変化が赤ちゃんの授乳に影響を与えることがあります。
例えば、母乳の勢いが強すぎると、赤ちゃんがむせて飲みにくいと感じることがあります。その場合、授乳前に少し搾乳して調整することで、赤ちゃんが飲みやすくなります。
また、母親の食事内容や体調が母乳の味に影響を与えるため、赤ちゃんが飲みたがらないこともあります。
脂っこい食べ物や甘いものを控え、バランスの取れた食事を意識することで、母乳の質を安定させましょう。
赤ちゃんが母乳を飲まない原因【生後6ヶ月】
生後6ヶ月になると、赤ちゃんが母乳を飲まなくなる理由として、離乳食への興味、歯の生え始め、環境の変化などが関係していることがあります。
生後6ヶ月は、赤ちゃんが成長の中でさまざまな変化を迎える時期です。赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら、原因を探ってみることが大切です。
離乳食に興味を持ち始める
生後6ヶ月になると、赤ちゃんが離乳食に興味を持ち始めることがあります。
新しい食べ物に夢中になり、母乳を飲む量が減ってしまう場合もあります。離乳食でお腹が満たされると、母乳への関心が薄れてしまうこともあります。
また、母乳より離乳食の方が楽しく感じられる場合もあります。生後6ヶ月の時期は、母乳と離乳食のバランスを見ながら無理のない形で授乳を続けていくことが大切です。
赤ちゃんのペースを見守りながら進めてみてください。
環境の変化に敏感になっている
生後6ヶ月の赤ちゃんは、周囲の環境の変化を敏感に感じ取るようになります。普段と違う場所や初めての環境では、不安を感じて母乳を飲みたがらないことがあります。
例えば、外出先や旅行中の授乳が難しくなることがあります。
また、家の中でも音や動きが多いと落ち着かないことがあります。授乳時には、赤ちゃんが安心して飲める静かで穏やかな環境を整えてみると良いでしょう。
赤ちゃんがリラックスできるよう、優しく声をかけてあげるのも効果的です。
歯が生え始めている
生後6ヶ月ごろから赤ちゃんの歯が生え始めることが多くなり、歯茎がむずむずしたり、痛みを感じることが増えます。
歯の不快感が原因で、赤ちゃんが母乳を飲むのを嫌がることがあります。また、授乳中に乳首を噛んでしまうこともあり、母乳を嫌がる原因になる場合もあります。
赤ちゃんの歯が生え始めている場合は、授乳の前に歯固めを与えて歯茎を落ち着かせると、赤ちゃんが飲みやすくなることがあります。
赤ちゃんの気持ちに寄り添いながら、少しずつ進めていきましょう。
赤ちゃんが母乳を飲まないときの5つの対策
赤ちゃんが母乳を飲まない理由はいろいろありますが、環境を整えたり、母乳を飲みやすくする工夫をしてみることで、状況が改善することもあります。
赤ちゃんが安心して過ごせるような雰囲気を作りながら、少しずつ試せる方法を取り入れてみることが大切です。
赤ちゃんが母乳を吸いやすい姿勢を見つけてあげる
赤ちゃんが母乳を飲まないときは、授乳中の姿勢を見直すことが役立つ場合があります。
赤ちゃんの体と頭がまっすぐになるように支え、首が自然に動かせる状態にしてあげると吸いやすくなります。
また、授乳クッションを使うと、赤ちゃんを支えるのが楽になり、母親の負担も軽減されます。
姿勢を工夫するだけで赤ちゃんが母乳を飲む意欲を取り戻すこともあるため、いくつかの方法を試してみるのがおすすめです。
赤ちゃんが心地よく母乳を飲める姿勢をいろいろ試しながら、リラックスした環境で授乳をしてみてください。
哺乳瓶の使い方を工夫してみる
哺乳瓶を併用している赤ちゃんが母乳を嫌がる場合は、哺乳瓶の乳首を「吸いにくいタイプ」に変えるのがおすすめです。
哺乳瓶のタイプは、母乳を飲むときと同じように吸う力を必要とするため、赤ちゃんが母乳を飲む感覚を思い出しやすくなります。
また、哺乳瓶を使う頻度を減らして、母乳を直接飲む機会を増やすのも効果的です。
哺乳瓶と母乳の飲みやすさを近づけることで、赤ちゃんが自然と母乳を選ぶようになることがあります。
授乳前に乳頭と乳輪を柔らかくしておく
乳頭や乳輪が硬いと赤ちゃんが吸いにくくなり、母乳を飲まない原因になることがあります。
授乳前に軽い乳頭マッサージをすることで、乳頭や乳輪が柔らかくなり、赤ちゃんの舌がとらえやすくなり吸いつきしやすくなります。
親指と人差し指の腹で爪の色が変わるくらいの強さで、ゆっくり優しく乳頭や乳輪をつまみます。少しずつ圧をかける方法が効果的です。肌が乾燥しないようにオリーブオイルやベビーオイルを使うと、より快適にケアができます。
赤ちゃんの吸い付きやすさが改善すると、授乳の時間もスムーズになりやすいです。痛みを感じない範囲で、無理なく進めてみてください。
母乳を飲みやすくする食生活を意識する
赤ちゃんが母乳の味に敏感になっている場合は、母乳の質を整えるために、食生活を見直してみましょう。
特に野菜や果物、大豆製品、魚などを意識して摂ることで、赤ちゃんが飲みやすい母乳を作りやすくなります。
一方で、脂っこいものや甘いものを摂りすぎると、母乳の味が変わることもあるため、控えめにするのがおすすめです。
母乳の味が良くなると、赤ちゃんの飲む量が増えることが期待できます。無理のない範囲でバランスの良い食事を心掛けてみてください。
赤ちゃんが安心できる環境を整える
赤ちゃんが不安を感じているときは、母乳を飲みたがらないことがあります。そんなときは、赤ちゃんがリラックスできる環境を作ってあげるのが大切です。
肌と肌が触れ合うスキンシップを増やすことで、赤ちゃんが安心感を持ちやすくなります。また、静かな場所で授乳することで、赤ちゃんが集中して飲めることもあります。
赤ちゃんが安心して飲めるようになるまで、気長に見守ることが大切です。眠たそうなタイミングやリラックスしている時間を見計らって、無理なく授乳を試してみましょう。
まとめ
赤ちゃんが母乳を飲まなくなる理由はさまざまですが、少しずつ原因を探りながら、対策を試してみることで、状況が改善することもあります。
新生児や生後2~3ヶ月、生後6ヶ月といった時期によって、理由や対応方法が変わることもあるので、赤ちゃんの様子をじっくり見守ることが大切です。
また、哺乳瓶の工夫や母乳の味、授乳環境の整え方など、小さな工夫が役に立つこともあります。
お母さんと赤ちゃんが安心して授乳の時間を過ごせるよう、無理のないペースで取り組んでみてください。
母乳はお母さんにとって、唯一、誰にもできないものなので、うまくいかないときほど頑張ってしまいがちです。
母乳を与えることだけが愛情ではないので、赤ちゃんにとって、また、お母さんにとって、負担にならないようにしてみてください。
